サンタ営業に出会うまで①

 現在、ほとんどの営業マンは、お客様からお金とノルマの数字を奪い取ろうという発想で営業をしている。そんな発想で営業をしている限り、お客さまには嫌われるし、自分にも自信が持てない。だから、仕事も楽しくならない。

このように、自分の「欲」だけで目標を立て、奪う発想スタイルの営業を「ドロボー営業」と呼ぶことができるだろう。

実際に、大多数の人が「欲の目標」を立てて仕事に取り組んでいるため、どうしても「ドロボー営業」から脱却できないことが多い。

一方、お客様にいかにお役に立ち、喜んでいただくか、そして、そのことによって、自分もいかに成長していくか、という発想スタイルの営業を「サンタさん営業」と呼ぶ。サンタさん営業を貫き、商品を喜んでいただけたら、リピーターも自然に増えるし、反復性のない商品だとしても、近所の人や知り合いに自分の売っている商品を紹介してくださるかもしれないのだ。

お客様のところへ訪問するときに、お客様から何かを奪おうとしていくのか、お客様に何かを与えようとしていくのかによって、行動力がまったく変わり、お客様の態度も変わる。「ドロボー」も「サンタ」も、どちらも大きなフクロを持っているが、目的は正反対だということを忘れてはいけない。しかし、このことを単に頭で理解しても、結局は、「サンタ」の仮面をかぶった「ドロボー」になってしまう。だから、「ドロボー営業」はきっぱりやめて、「サンタさん営業」でいくと完全に腹に決めなければならない。

これから変革の時代に突入し、価値観がどんどん変わっていく。消費者のニーズが多様化する中で、お客様が求めているのは、「サンタさん営業」である。自分に合った商品をきちんと提供してくれるだけでなく、幸せや満足感を与えてくれる営業マンをお客さまは望んでいるのだ。

佐藤康行著 「サンタさん営業 ドロボー営業」 プロローグより

僕が佐藤康行という人を知ったのは、今から10年以上前の2005年頃、図書館で何気なく手に取った「サンタさん営業 ドロボー営業」という一冊の本でした。

当時、銀行員から生命保険のセールスパーソンに転職をした僕は、どうやったら営業マンとして成功するのか、売れるようになるのか悩んでいて、営業本・ビジネス本を読み漁っていました。

1998年、僕は名古屋の大学を卒業後、地元の銀行に就職をしました。

自分のところの利益しか考えない銀行の仕事…

ノルマ漬けの毎日…

毎朝、毎晩飛び交う支店長と上司の怒号…

心を病んで次々と止めていく同僚や同期…

僕は心のバランスを保つために休日は、大学時代に友人たちと夢中になっていたスノーボードへさらにのめり込んでいきました。インストラクター資格を取って職場に内緒で休日だけスキー場にこもってイントラのバイトをしたり、スノーボードクロスの各地の大会に参戦したりもしてました。

しかし、何の解決にもなりません。毎週日曜日の夜、なんとも言えない憂鬱な気持ちになりながら雪山から高速道路を走らせながら帰宅しました。

当時、サザエさんの終わりの歌を聞くと憂鬱になる“サザエさん症候群”という言葉がありましたが、僕はちびまる子ちゃんの始まりの歌で泣いていました。

どんなに、必死にやっても月末を過ぎればまたゼロにリセット。

あと何回こんな月末を迎えれば僕はここから逃れられるんだろう…

もうダメだ、これ以上ここにいたら本当に壊れてしまう…

心のダムが決壊寸前まできてしまいました。社会人となって6年が過ぎようとしていた頃でした。

サンタ営業に出会うまで② につづく